リハビリテーション業界では、食事をしたり、お風呂に入ったり、トイレに行ったりという日常生活動作のことを
『ADL=Activity of Daily Living(アクティビティオブデイリーリビング)』
と言います。
そして握力計を使って筋力を測定するのと同様に、ADLがどの程度問題なく遂行できているのかを検査し評価する方法として、世界的に最も使用されているものが今回のテーマである
『FIM=Functional Independence Measure(ファンクショナルインディペンデンスメジャー通称"フィム")』
です。
FIMは運動項目13、認知項目5の計18項目に分かれており、
それぞれ1点(全介助)~7点(自立)で評定をつけていきます。
そのため最低18点~最高126点満点となり、点数が高いほどADLが自立していると判断できます。
そんなFIMですが、項目数が多岐に渡り、しっかりADLを把握していないと評定をつけることができないため、苦手意識を持っている方も中にはいるのではないでしょうか?
このシリーズでは、FIMを項目ごとにオリジナルのフローチャート形式にまとめて、できるだけパッと見で評価の点数が付けられるようにすることで、FIMを得意になれるように進めていきます。
何回かに分けて記事にしていきます。
では本題です。
まず第1回目は私がPTであることから「運動項目」の中でも「移動」に関してまとめます。
【歩行・車いす】
この画像にも記載してありますが、入院時にFIMを評価する際にも、退院時の移動能力を予測して「歩行」または「車いす」を選択します。
予測が難しい場合は、どちらも評価しておくのがベターです。
FIMは外国で作られた評価表のため、「50m」「15m」というのは、それぞれアメリカにおける「1ブロック」「家屋内移動距離」を想定した基準です。
4点以下の基準が比較的曖昧になっていますが、例えば、
- 腰ひもに軽く触れる程度の指尖介助量~脇を軽く触れる程度の軽介助量であれば、4点
- 脇を支える程度の軽介助量~前方からの中等度介助量であれば、3点
- 長下肢装具併用での後方介助などでしっかり介助する重度介助量であれば、2点
- 2人介助など、患者の協力が得られない全介助であれば、1点
という様に評定していきます。
【階段】
施設や病院ではエレベータを使用することが多いため、階段の項目に限ってのみ「できるADL」で評価をしても良いとされています。
そのため訓練時間にて、階段昇降が可能かどうかという動作能力をそのまま得点として付けても良いのです。
段の高さの基準はありませんが、日本の現行の建築基準法では「蹴上げ(高さ)230mm以下、踏面150mm以上」との記載があるため、私はよく20cm程度の段差を用いて評価しています。
「12~14段」「4~6段」というのは、アメリカにおける「1フロア(階)分」「スキップフロア分」の高さに相当します。
スキップフロアとは、日本ではあまり馴染みがないですが、最近の家屋なんかではたまに見られる、フロアの一部にちょっと高さを高くしたフロアがあるという、言ってしまえば1階と2階の間にもうひとつフロアがあるイメージです。これに相当します。
階段が無いところでは、4~6段の訓練用の階段を何度も往復することで合計12~14段に変換して考えます。
4点以下の基準に関しては、「移動」の項目と同様です。
<参考資料>「FIM講習会資料」慶応義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
☆講習会情報は以下のリンクから↓↓
FIM 機能的自立度評価法 | 慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室
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