FIMのフローチャートも今回の項目で、「排泄コントロール」以外のセルフケア項目は終了となります。
「排泄コントロール」は少し考え方が難しいため、次回じっくり解説していきます。
今回の第⑤回では、上半身および下半身の「更衣」動作についてです。
【更衣(上半身)】
コルセットやカラーなどの装具、または義手などの義肢、サポーターや弾性ストッキングなどの治療用具を使用している場合、その着脱も対象とされます。
しかしながらそういった義肢・装具・治療用具の使用は特殊な状況であり、更衣のメインとなるものではないため、義肢・装具・治療用具の着脱を全介助されていたとしても「5点」までの減点となります。
4点以下の得点の付け方についてですが、例えば「Tシャツ」の麻痺側を通すのは介助するが、かぶるのと非麻痺側の袖を通すのは自力で行える、最後に服を直すのに介助を要する場合、
介助量としては(かぶる0%+片腕を通す100%+反対の腕を通す0%+整える20%)÷4(ボタンは無いため4項目)=30%となり「3点」となります。
シャツやブラウスなどかぶる必要が無いものはその他の4項目で考え、Tシャツなどボタンの必要がないものはそれ以外の4項目で考えます。
また、「ブラジャー」では、フックをかけてもらうのみ介助であれば、(片腕を通す0%+反対の腕を通す0%+整える0%+ボタンやフック100%)÷4=25%で「4点」となります。
上記の介助量にて普段「Tシャツ」と「ブラジャー」を着用している場合、介助量は(30%+25%)÷2種類=27.5%となるため「3点」となります。
このように、下着・Tシャツ・上着など同時にいくつもの種類の服を着ている場合は、面倒ですがそれぞれの介助量について評価し、さらにそれらの平均を得点とします。
【更衣(下半身)】
義足や短下肢装具やニーブレースといった装具、浮腫改善のための弾性ストッキングなどの治療用具を使用している場合は、その着脱も評価対象に含まれます。
上半身の更衣と同様で、そういった義肢・装具・治療用具の使用は特殊な状況であり、更衣のメインではないため、たとえ全介助であってもその他の衣服の更衣が自力で行えていればFIM上では「5点」までしか下げられません。
上半身との違いとしては、下半身では季節や時間を問わず、下半身に身に着けているものはほとんど同じ(普通はズボン・下着・靴下・靴)となるため、4項目(種類)の衣服の着脱における介助量を平均して評価します。
<参考資料>「FIM講習会資料」慶応義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
☆講習会情報は以下のリンクからどうぞ!
FIM 機能的自立度評価法 | 慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室
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