フローチャート第6回目は、排泄コントロールです。
少し長くなりますが、集中して読んでみて下さい!
フローチャート その6 【排泄コントロール】
排泄コントロールとは、適切な時間・場所で排泄を行うために、尿便意を止めてトイレに行ってから排泄するという、排泄機能自体のコントロールができるかという能力、加えて、必要な薬剤や器具の使用をできるかどうかの能力をいいます。
FIMの項目全体で共通する事項として、FIMは患者の自立を測定するのと同時に、介護の量つまり「介助者の負担度合い」を考えるという点があります。
「排泄コントロール」の項目では、この「介助者の負担度合い」を考えるということが特に重要となります。
【排尿管理】
少し長くなりますが、お付き合い下さい。
排泄コントロールの項目では「失敗」と「介助量」の双方を確認し、評点の低い方を得点とします。
まず「失敗」についてです。
少しややこしいですが、最初に「失禁」と「失敗」とは全く異なるという点を確認しましょう。
「失禁」は意図しない排泄のことを指し、「失敗」とはそれにより服やシーツ、ベッドなどを汚してしまうことを意味します。
例えばおむつの中に意図しないで排泄し、おむつ内で収まっていれば「失禁」ですが「失敗」ではありません。そこでさらに服やシーツを汚してしまえば「失敗」となります。
つまり「失敗」には介助が必要となってきます。
FIMは「自立度」を測るのと同時に、その裏返しである「介助者の負担度合い」を評価するという考え方を思い出して下さい。
排泄コントロールの項目では、FIMの考え方に則ると、患者の排泄能力よりも、失敗に対する対応・片付けなどの介助量を考えることが前提となっています。
そのため、まずは「失敗」の頻度ついて考えます。
そして次に、「失敗」でない場合についてを、他の項目と同様に介助者が必要なのか、道具を使用するのかといった排泄動作の遂行に必要とする「介助の量」について考えます。
そして「失敗」と「介助量」の双方を比較して、点数が低かった方をこの項目の点数として記載します。
実際に準備や介助が必要となる「5点」以下についてはやや複雑に見えますが、排泄に際してどの道具を使用しているかによって検討するだけなのでそこまで難しくはありません。
注意点としては、「尿捨て・片付け」が、Ⓐポータブルトイレ・尿器使用時では「準備」にあたり、Ⓑ導尿・留置バルーンカテーテル使用時では「介助」にあたります。
2枚目の画像の例としては、毎日導尿介助するが、自尿の回数の方が導尿介助の回数よりも少ないといった場合を考える時に使用し、ここでは「2点」となります。
【排便管理】
排便管理も同様に、「失敗」と「介助量」の双方の評価により、低い方の点数を記載します。
道具の1つに坐薬があり、坐薬を使用している場合は「使用頻度」と「介助の有無」で点数が変化します。
4点以下については、他のセルフケア項目と同様に、項目ごとの介助量を平均して点数をつけます。
長いセクションでしたが、お疲れ様でした。
「失敗」と「介助量」について評価し、点数の低い方をとるという複雑な評定方法でしたが、「失敗」の部分を憶えてしまえば、「介助量」については他の項目と同様な部分が多いので考えやすくなるかと思います。
<参考資料>「FIM講習会資料」慶応義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
☆講習会情報は以下のリンクからどうぞ!
FIM 機能的自立度評価法 | 慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室