FIMの認知項目は「理解」「表出」「社会的交流」「問題解決」「記憶」の5項目があります。
その中で、まず「理解」「表出」についてです。
この2つは似ている点も多いためセットで憶えると良いでしょう。
また、認知項目は運動項目とは採点方法が少し異なります。
フローチャート その7 【認知項目(理解・表出)】
理解とは「分かる」ということであり、表出とは「伝える」ということです。
理解や表出の項目では、まず「複雑な課題」に対しての理解・表出についてどの程度介助を受けているか、を考えます。
「複雑な課題」とは、「金銭管理・宗教・時事・服薬・会話・冗談・やるべきこと」などの複雑かつ抽象的な物事です。
そして「理解」「表出」の項目における介助とは、評価者側が行う「配慮・促し・指示・監視」などを指します。
運動項目と異なり、「監視」も介助の1つとなっています。
介助が不要な場合、7点と6点の評定に進みます。
介助が必要な場合は、今度は「簡単な話題」に対しての介助量を検討します。
「簡単な課題」とは、「生理的欲求(食事・排泄・睡眠など)・痛み・体調などの身体症状・日常の基本的活動」などの具体的な基本的欲求に近い物事です。
これらに対する介助量を平均して、5~1点の評点をします。
また、「理解」「表出」の項目では、手段を記載しておく必要があるようです。
聴覚手段なのか、筆談や手話などの視覚手段なのか、です。
これらに当てはまるのは、聴覚障害などの機能障害の場合に限った話であり、失語や認知症によって「理解」「表出」を促すためのジェスチャーや配慮が必要となる場合はこの限りではありません。
また筆談の場合は、道具の使用にあたるため「6点」となります。
理解の例としては、
- 複雑な内容は理解しているが、補聴器を使用している場合は「6点」。
- 複雑な内容は分からないが、基本的欲求はよく分かる場合は「5点」。
- 失語がありジェスチャー使用の場合は「2点」、短文レベルであれば「4点」。
表出の例としては、
- 認知症があり、尿意を伝えたいが10回に3回は失敗してしまう場合は、簡単な課題の30%の介助が必要なため「3点」。
- 失声のため筆談を用いていれば、複雑な課題は表出でき、しかし道具を使用するため「6点」。
参考資料
「FIM講習会資料」慶応義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
☆講習会情報は以下のリンクから↓↓
FIM 機能的自立度評価法 | 慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室
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