トレーニングを行う際に、その種類としては大きく分けて「有酸素運動」と「レジスタンストレーニング(抵抗運動)」の2つに分類されることが多いと思います。
レジスタンストレーニングは広義の筋トレのことであり、自重で行うもの、重錘などの道具を使用して行うもの、マシンを用いて行うものなどがあります。
今回は、運動が特にリスクにもなり得る心疾患患者を例として、安全なレジスタンストレーニングの負荷強度の設定方法についてまとめます。
負荷強度を設定する際には、FITTを意識して行います。
FITTに関しては以下のリンクに書いてあります。
ランナーズハイとはつまり遺伝子が洗練されていっている感覚のことではないか
強度に関してですが、レジスタンストレーニングでは「1RM」の測定や予測をまず第1に行います。
1RMとは、「1 Repetition Maximum(1回反復最大負荷)」の略であり、全力でトライして1回だけ持ち上げられる最大負荷量のことを言います。
ボディビルやベンチプレスを思い浮かべると分かりやすいですが、それらの競技では1回だけ持ち上げることのできる重量が、そのまま1RMに相当します。
あなたがもし、レッグエクステンションで大腿四頭筋を鍛えたいのなら、1回だけ持ち上げられるキログラムやポンドの最大の値が1RMとなります。
レジスタンストレーニングの導入プロトコルとしては、
- 強度は上肢:30~40% 1RMから開始、下肢:50~60% 1RMから開始
- 12~15回を楽にできるようになれば、次回のセッションで負荷を5%増加
- 回数は8~12回×2~3セット
- 頻度は毎週2~3回
を目安に行います。
健常者なら、しっかり1RMを測定することが最も適切な妥当性・信頼性のある負荷強度の設定や運動処方を行うことができますが、心疾患患者に対して最大負荷をかけることはリスクを伴うため、「適定法」を用います。
適定法とは、「ある運動を反復できる回数」から、「1RMの何%の負荷であるか」を予測するものです。
この表のように一定の数値が決まっています。
例えば、膝伸展の運動を行う際に、1㎏の重錘をつけて運動したら17回の反復でもう限界という方がいた場合は、1㎏が60%1RMに相当するため、
60% 1RM=1kg
1RM=1kg÷60%=1.67kgとなり
1RMにおける重錘の重さが1.67kgと予測することができるため、これをもとに運動処方を行っていきます。
ところが、この適定法は患者の主観によって左右される部分があるため、目的とする強度よりも低くなってしまう可能性が高いとされています。
そのため可能なら実際に1RMを測定することが推奨されています。
参考資料は以下の書籍です。
CPXの概念を通して、運動生理的な視点から運動療法を捉え直すと、より一層根拠を持った運動処方を行うことができるようになり、臨床に深みが出てくるので、是非一読することをおすすめします。