7月18日に開催された、第25回3学会合同呼吸療法認定士認定試験の結果が届きました。
結果はありがたいことに「合格」。
合格に至るまでに私がした勉強法や当日の会場の様子、以前書いた記事に則って試験内容について振り返ってみたいと思います。
どんな通知が来るの
薄いA4サイズの封筒が一通、特定記録郵便で届きました。
中には必要最小限の書類があるのみです。
合格通知と、
認定申請書が同封されています。
心電図検定や心不全療養士などで貰えるような名札に付けるバッジはありません。
バッジなど目に見えて有資格者と分かるものがあればモチベーションがまた一段と上がると思うので、個人的には是非作ってほしいです。
また、正式に有資格者となるには認定申請をしなければなりません。
ここが疑問なのですが、試験を受けて合格したのに、せっかく合格した資格を破棄する人がいるとは思えません。わざわざ認定申請をさせる必要がどこにあるのでしょうか。
しかも認定申請には、認定登録料として2000円必要となります。
研修会の参加によるポイントの取得のみで、症例報告などせずに受験させてもらえるのはとてもありがたいのですが、とにかく手間とお金がかかるのがこの資格の悪いところです。
第25回の試験内容
試験内容については、試験直後の時期に書いた以下の記事にて書いていますのでご参照下さい。
3学会合同呼吸療法士認定試験の勉強方法と試験の振り返り 【第25回2021年7月18日開催を終えて】
これまでの試験の難易度がイマイチ良く分からないのでなんともいえませんが、『青本』に則った過去の問題傾向とは想像以上に乖離しており、新規の問題が多かったように感じます。
また基礎的な知識を問うような問題も中には数問ありましたが、大半が基礎知識を習得していることを前提とした応用性のある問題が多かった印象です。
今回ばかりは、過去問を徹底的に解くというよりも、公式テキストをほぼ全ての内容を頭に入れるくらいの意気込みで勉強する方が良かった印象です。
私の勉強法
経過
元々2020年の11月に開催予定であったため、『公式テキスト』は2020年の夏ごろに届き、8月にはe-Learningでのオンライン講習会を終えていました。
そこからコロナ禍の影響を受けて結果的に翌年7月の開催に決定。
今思えば、かなり長い期間があったことで、公式テキストを読み込む時間がその分長くなり、その結果試験問題が難しくなったという図式が成り立つことに気が付きました。
私はというと、e-Learningが開催された8月時点で公式テキストは一周読んでいましたが、もちろん翌年の7月までそのモチベーションや知識が継続できるわけもないので、頑張ろうと盛り上がっていた熱はいったん冷め、再度本格的に勉強を始めたのが2021年の6月に入った頃からでした。
その頃にはもうe-Learningの内容などすっかり忘れており、公式テキストは何となく見たことあるなあ位の感覚でした。
しかし、ちょうど急性期の病院で勤務していることもあって、呼吸器科の界隈には日常的に接していたことで気持ち的には余裕がありました。
呼吸療法認定士の各論の1つである「人工呼吸器」に関しては、ICUなどで勤務するにあたって必要な知識となるため、以下の記事で挙げている『Dr.竜馬の病態で考える人工呼吸管理』で前もって勉強していました。
【人工呼吸器の勉強の第一歩に最適な1冊】 Dr.田中竜馬の病態で考える人工呼吸管理
さらに、6月の頭くらいに過去問題集である通称『青本』を購入しました。
ここから青本を解きながら、ひたすら公式テキストを読み込んでいく作業を繰り返しました。
青本
青本の良い点は、問題数が膨大にあり過去の問題をほとんど網羅している点です。
出題傾向や、どんなポイントが問題として出題されやすいのか、といった重点を把握することができるため、是非一度はやっておくことをオススメします。
一方で悪い点としては、問題数の数の多さに比重を置いているためか解説が至極簡素なものとなっています。
内容をしっかり理解しながら解き進めたい場合は、公式テキストと照らし合わせながら読むことで問題への理解を深めていくと良いかと思います。
また回答の間違いがいくつかあったので注意が必要です。
認定講習会テキスト(公式テキスト)
出題範囲はこの公式テキストからとなっているので、公式テキストを丸暗記すれば試験には合格できます。
しかし何100ページもあるこの本は読むだけでも大変なので、丸暗記なんて常人には不可能です。
しかも難解な語句で記載されているので読みづらいことこの上ない。
例えば、検査の項目にある静肺コンプライアンスと動肺コンプライアンスの違いなんて、簡単に書いてしまえば呼気ポーズを行うかどうかなのに、それをあたかも難しく書いているので、テキストに対する解説本が必要なのではないかと最初は感じるほどでした。
そんな本なので、私は読むだけでは頭に入らず、書かれている内容を自分の言葉に変換しながら、隅から隅までくまなくノートにまとめました。
二度と公式テキストを読まなくても良いくらいにまとめ、振り返る際にはそのノートを読み返すことで知識を吸収していきました。
また、暗記項目については、実際に見たことがある呼吸器疾患の患者をイメージしながら、どんな病態で、どんな検査をして、どんな薬剤を使用して、どんなリハビリをしていたかというのを思い出し、記憶にあてはめながら憶えていきました。エピソードと絡めることで憶えやすくなったのでオススメです。
その他
YouTubeやTwitterなどのSNSなどでも、3学会合同呼吸療法認定士認定試験や呼吸療法に関する情報発信をしている方がいるので、その方の投稿を見たり聞き流したりしながら勉強させて頂きました。
今回の出題傾向を見るに、どんな問題が出てもおかしくないように思います。
そのため時間があればアステッキなどの他の予想問題集に取り組んでも良いかと思いますが、出題範囲に関しては公式テキストと青本で概ねカバーできるので、冊数を増やすというよりも1~2冊を集中的に取り組んだ方が良いかと思います。
私は他の問題集は購入しませんでした。
広く浅くというよりも、公式テキストの範囲内の知識という知識は全て憶え、できればそこからさらに深く勉強しておく必要があると感じました。
今回の第25回認定試験は、おそらく出題傾向が変更され、過去問題集である『青本』があまり役に立たなかった印象です。
応用問題が多かったとは前述しましたが、『公式テキスト』に書かれている内容を多少捻った問題であったことから、公式問題集をまとめた私の勉強方法が功を奏した形になったと考えています。
しかし直近では2021年12月に第26回の認定試験が開催予定であり、今後も同様の出題傾向が継続されるのかは不明です。
いずれにせよ、公式問題集をしっかり読み込んで自分なりにまとめておくことはとても重要なので、過去問を解くばかりではなく、公式テキストもやり込みましょう。
試験当日の様子
コロナ禍真っ只中の東京ということもあり、会場は厳戒態勢が敷かれていました。
マスク着用や入り口での検温はもちろん、会場は混雑による密状態にならないように係員の誘導が徹底されていたり、着席する席も隣の受験者と近くならないように広めの間隔がとられたりしていました。
会場内は席順や経路もしっかり示されていたので、迷う心配はありませんでした。
トイレは男性は小便器は空いていましたが、大便器は常に5人程度が並んでいました。女性トイレは外まで並ぶようなことはありませんが、トイレ内はある程度混雑していたかと思われます。
また試験中も係員付き添いでトイレの使用は可能なので、試験開始ギリギリまで我慢するなどの神経質になる必要はありません。
会場に関する大きな注意点としては、会場の温度調節が不十分であるという点です。
真夏だったので冷房の効きすぎを危惧していましたが、案の定かなり寒かったです。
冬の開催の場合は、逆に暖房が効きすぎている可能性もあるので、体温調節できる上着などで試験に赴くのが良いかと思います。
持ち物の注意点としては、iPhoneなどのスマホや携帯電子機器は全て電源をオフにして封筒に入れるように指示されます。
スマートウォッチやタブレットも同様の対応となるため、それらの機器の電源を切れるようにしておくか、不安なら会場には持ち込まないのが良いでしょう。
スマートウォッチの電源が切れずに困惑する受験者がいて、試験開始直前に少し会場が騒がしくなりました。
最後に
この呼吸療法認定士認定試験は、試験に受かることが目的なのではなく、この資格を通して得た知識や技術を振りかざすことで、個人や組織や社会に利益をもたらすことができるような人材になれることが目的です。
試験対策的な勉強だけではなく、その先にいる自分をイメージしながら実用的な知識を身に着けていく姿勢が大切です。
COVID-19の流行によって、以前よりもSpO2やパルスオキシメータ、人工呼吸器、ECMO、ネーザルハイフローといった一般的には耳馴染みのなかった医療用語が取り沙汰されるようになってきました。
世間の呼吸器疾患への情報感度の高まりとともに、呼吸療法への期待と要求は今後も高まり続けると思われます。
呼吸療法認定士という資格も、「呼吸療法への入口」から、「即戦力として応用性のある人材の選別」という意味合いへシフトする転換期にさしかかっているのかもしれません。
問題の難易度が上がれば上がるほど、資格を持っていることに、より誇りを持てるようにはなるので、今後受験予定の方々は是非とも頑張って下さい。