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習慣化の習慣 【リハビリテーションにおける習慣化の意義】

習慣化の習慣 【リハビリテーションにおける習慣化の意義】

高校受験の時期、前期面接の時間潰しとして書店に平積みされていた本を手に取りました。

ご存知、伊坂幸太郎氏の『オーデュボンの祈り』(新潮社)。

そこからしばらく彼の作品を読み漁っていた時期がありました。

映画化もした『ゴールデンスランバー』という本もその一つで、その本の一説にこんなフレーズがあります。

ーーー人間の最大の武器は「信頼」と「習慣」だ。

人間の最大の武器は「信頼」と「習慣」だ。

「習慣」とは、私たち人間の最大の武器の1つである

これは本当に芯を食った一言だと私は思っています。

新しいことを始めると、しばらくの間は、家事や仕事や毎日やっていること「プラスα」の期間がありますが、その「プラスα」を新たに習慣化させてしまい、それが当たり前になってしまえば、その「プラスα」を含めた時点が、今度はその人にとっての「当たり前」のベースラインとなってきます。

極論を言えば、この世のすべてを習慣化させてしまっている人は最強ということです。

 

リハビリテーション職は「習慣を組み立てる仕事」

本題ですが、我々リハビリテーション職は、見方を変えれば「習慣を組み立てる」仕事でもあります。

それはもちろん一番に患者さん、そして家族、さらに家族、あなた自身などさまざまなものを対象として。

そして習慣化を促すために必要不可欠なのが、もうひとつの武器である「信頼」です。

今回は「信頼」ではなく「習慣」についての話をしていきます。

 

患者さんの習慣にアプローチ

まずは患者さんに関してですが、入院や外来受診というのは、患者にとって大きなライフイベントであり、人生の1つ大きなターニングポイントです。

私達も病院に行くとなると少なからず緊張した幼き頃があったのではないでしょうか。

がん、脳卒中、心疾患など、現在日本において死因上位を占めている疾患はどれも生活習慣の乱れが大きなファクターとなって引き起こされています。

整形外科の外来リハビリテーションであっても、悪い動作や姿勢の習慣が痛みを引き起こしている場面が多くみられます。

いかにそれらの症状を緩和させ、ADLを獲得できるようにプランを立て、自宅に帰れるようにするかを模索していくのはもちろん大事ですし、それが大前提ではありますが、日常の臨床がそこにばかりフォーカスされてしまうと、せっかくのターニングポイントであるのに、退院や外来終了などでセラピストの手を離れた瞬間に、元の悪い習慣に逆戻りしてしまう可能性の芽が残されたままとなってしまいます。

セラピストの目が行き届く内に、悪い習慣があるのであれば、それを是正するようにアシストし、「RE(NEW) HABILITATION」つまり患者にとっての習慣のアップデートを促していくことがとても大切ではないかと感じます。

心リハのアドヒアランスが予後と大きく関わっているように、エビデンスはありませんが、この習慣化の概念を持つことで、患者ひいては社会の予後を少しでも良くすることができるのはないかと考えています。

 

病棟における習慣にアプローチ

また病棟におけるリハスタッフの在り方についても習慣化の概念があると実は僕たちは楽ができます。

病棟での離床時間や活動量を、いかにPT・OT以外の時間で確保するかというのは永遠の課題かと思います。

患者さん自身がマインドセットを変えるのはもちろん重要ですが、病棟の看護師・介護福祉士などにしっかり現在の歩行能力や運動耐容能等を伝達し、病棟スタッフが闇雲ではなくきちんと理解した上で、病棟主体で離床時間を確保してもらう「チームとしての習慣」を作り上げることも習慣化の一つ、そして私たちの重要な仕事の1つだと考えます。

これも極論、病棟サイドでの離床を習慣化させてしまえば、訓練の時間で歩行練習をする必要はないのです。(脳卒中などで装具を使用しないと歩けないあるいは負の学習などの可能性がある場合や特殊な介助が必要な場合はその限りではありませんが。)

 

習慣化させる習慣をあなた自身が持とう

入院したこと、あるいは外来であっても、セラピストと患者とが一回でも接することが患者にとって正のターニングポイントとなり、習慣化のきっかけになれれば、たとえ身体的・金銭的に不利益であったとしても、それは人生において少なからず意味のあるイベントになります。

人間の最大の武器の1つは「習慣」。

そしてそれを生かすことができるのがリハビリテーション職です。

リハビリって要る?という誰もが一度はぶち当たる、専門性の意義。

リハビリテーションの意味を見失わず、人間の武器を最大限に生かせる仕事であることに誇りをもって、毎日取り組んでいきましょう。

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