コロナウイルス(COVID19)感染者は、日本では2020年1月15日に1人目が確定診断されました。
それ以降、徐々に感染が拡大し、「外出自粛」「3密」「ソーシャルディスタンス」「緊急事態宣言」「まん防」などと言った言葉が飛び交う様になりました。
その中で「リモート会議」「オンライン授業」「オンライン飲み会」など、インターネット上でのやりとりをする機会が増え、今や主流となりつつあります。
「オンライン飲み会」を何回か行ってみて、賛否両論あると思いますが、私は「否」の側でした。
何回かオンライン飲み会をしましたが私には合いませんでした。
まず私が考えるオンラインで飲み会をすることのメリットです。
1つは見た目の準備をしなくて良いという点です。
居酒屋などのお店に行くということは、着る服を選んで、化粧をしたり髭を剃ったりして、髪型を整えて、匂いに気を遣って、などとわざわざ色々な用意をしなければなりません。
その点、パソコン1台もしくはスマホが1台あれば、最低限、首から上だけをめかし込めば事足ります。
2つ目にお店の料金がかからないこと、お店へのアクセス方法を考える必要が無いという点です。
当然、お酒を飲んでしまえば車で帰る訳にはいかないので、迎えに来てもらうか、電車などで帰る必要があります。
その点、飲み会が始まるまでベッドで寝てても良いし、終わればそのままベッドで寝ても良いという最高の環境にはあるわけです。
3つ目に効率よく執り行われれば、時間が有効に利用できるという点です。
オンライン飲み会最大の問題点の1つである「終わりが見えない問題」。
ダラダラといつまでも画面をつけておくだけの時間が流れた経験はあるでしょう。
これは、あらかじめ終了時間を決めておけば、むしろ前述の準備・移動が不要なので、無駄な時間が無くなり、空いた時間を有効に使うことができます。
子育てが忙しい方や、会うには遠すぎる人と、飲み会「風」な会話を楽しむにはとても良いツールだと思います。
一方でデメリットです。
まず1つ目に単純にテンポが悪いという点です。
いくら通信環境が良くて、こちらの問いかけにテンポよく反応したとしても、わずかに誤差が生じます。
お笑い芸人はこの「間」を重要視していますが、それだけではなく、会話における「間」のとり方によるコミュニケーションへの影響が検討された研究も数多くあるほど、人間の相互コミュニケーションにとって無視できない要素の1つなのです。
これにより、盛り上がるはずの会話が盛り上がらないといった現象が起きます。
2つ目に距離感がつかみにくいという点です。
飲み会を楽しむ、もしくは仲良くなるのに、距離感はとても大切です。
お酒によって気が緩むと、パーソナルスペースと呼ばれる、他人が侵入すると不快に思う身の回りの空間が狭くなることで、簡単にボディタッチを許してしまったりするといったことが起きます。
また、身体的接触が増えることで仲が良くなりやすいという研究結果もあります。
このことからアルコール摂取によるパーソナルスペースの狭小化と身体的接触により、飲み会は、いつも以上に友達をつくりやすい条件が揃っているのです。
しかしオンライン飲み会で周りを見渡せば、そこにいるのは自分1人。
画面上の会話では、よほどトークが上手くない限り、仲良くなるのは難しいか時間がかかると思うのです。
3つ目に同時多発的な会話の発生が困難という点です。
例えば数十人規模の大学のサークルで、中心となるサークルリーダーが新入生の可愛い女の子をイジり、それをみんなで見て盛り上がっている場面を想像して下さい。
この時、テーブルの隅では「あの子マジでかわいいな」という会話が冴えない男子同士で繰り広げられているかもしれませんし、片や、反対の隅では「あのリーダー早く帰らねーかな」といった愚痴合戦が開催されているかもしれません。
こういったサブトークが同じテーブルの色々なところで行われるのが、飲み会の醍醐味の1つなのですが、オンライン飲み会では、1つの画面をみんなで共有することで、誰かが会話し始めると、全参加者がその話を強制的に聞かされるという状況になります。
もちろん少人数の開催であっても少なからず同様の状況は考えられると思います。
結果、自分の話したいことや意見が言えず、ストレスが溜まったまま終了します。
4つ目に居酒屋などお店で飲むことの利点が全く得られないという点です。
お金さえあえばの話ですが、自分でお酒や料理を準備したり作ったりする必要はなく、座っているだけで美味しい料理を食べ、味わったことのないカクテルを飲めますし、
そもそも、飲み会のために作り上げられた空間なので抜群に良い雰囲気の中で時間を過ごすことができます。
またこれらにより普段は味わうことができない非日常感や空気感を感じることができます。
飲み会の目的にもよるだろ、と思う方もいるかもしれません。
そこで私が飲み会に参加する目的を考えてみました。
「今までの友達と新しい情報を交換したり、普段できないような話をする」「新しく知り合った人と友達になる」「ここだけの話で愚痴を言い合う」「好きな酒や料理を楽しむ」といったところです。
ですが、少なくとも私は、そのどれもオンライン飲み会では達成できないと判断しました。
正直、オンライン飲み会を楽しめる人は、もともと仲の良かった友達と近況報告程度の浅い会話をする目的で行っているか、常に会話の中心にいる(と自分では思っている)人物か、そもそも飲み会自体をあまりしたことが無い方々なのではないかと思いました。
話のテンポが悪く、距離感があり、誰かが喋るのを全員が聞くという1人対大勢の会話図式、これらはつまり、飲み会と銘打った、ある種の会議と一緒だと思います。
では最後に、どうやったらオンライン飲み会を楽しむことができるのか、について私なりの提案をしていきます。
結論から言うと、先ほども述べましたが「飲み会」ではなく「会議」だと思って臨むということです。
もしくは、新しく知り合いや友達を作るための飲み会ではなく、少人数かつ良く知っていて本当に仲の良い友達などとであれば楽しめると思います。
自分の分のお酒と料理さえ用意すれば、かなりお手軽にコミュニティに参加できるので、始めからストレス発散などと考えずに、会議に参加するようなスタンスで臨んだ方が、もしかしたら楽しめるかもしれません。
デジタル革命によって便利な時代になりましたが、アナログの良さが完全に無くなってしまった訳ではありません。
それは人付き合いの場面では尚更です。
5感+α(パーソナルスペースや雰囲気など)の中で友情や関係性は育まれるのであって、画面上では文字通り「腹を割って話す」とか「裸の付き合い」なんてのは異次元のお話です。
コロナ禍で惜しくも閉業を余儀なくされた居酒屋の数々もありますが、コロナの騒動が落ち着けば、withコロナであれ、afterコロナであれ、また居酒屋文化は戻ってくるでしょう。
これからは「少人数原則で大勢の入店がそもそもできないようなシステム」×「部屋は個室のみ」×「換気徹底」の居酒屋・飲み処が台頭していくと思われます。
早く居酒屋で遠慮なく飲める日常が戻ると良いですね。
まあなによりも、居酒屋で飲む生ビールってやっぱり美味いんですよ。